社団法人 日本化学会
会長 野依良治
田中耕一氏の今年度ノーベル化学賞受賞の報に、驚きもし、また大変喜んでおります。
氏の業績は、タンパク質のような高分子量のものをイオン化し、質量分析器にかける道を拓いたものであり、その後、この手法を応用して生体タンパク質の解析は飛躍的に進歩しました。
氏は、分析機器の開発に携わる民間企業のエンジニアであります。化学の進歩は分析手段の発達に大きく支えられてきましたが、こうした分野の方々の中から受賞者がでたことは、今後の研究を一段と鼓舞するもので、非常に意義深いものと考えます。
これでノーベル化学賞は3年連続の受賞となりました。わが国の大学のみならず企業においてもレベルの高い基礎研究がなされていることの証であり、非常に心強い限りです。
氏はまだ43才と若くこれから益々活躍されることを期待しております。